私は社会人を経て30代になってから看護学校に通い、50代となった今も看護師として働いています。
高校を卒業してからは一般的な事務員として働き、何度も転職をしていました。最後に働いた会社には10年勤め、仕事にも慣れていたけれど、毎日同じことの繰り返しでやりがいもなく、「このままでいいのかな?」という不安がいつもありました。
テレビドラマなどで、バリバリとやりがいのある仕事をしている人を見ると、ドラマなのに何故だかうらやましくて……。自分には何も残らない気がして、将来がどんどん不安になっていきました。
そんな私が看護師になろうと思い立ち、看護学校に合格するまでの体験談になります。
四十にして惑わずを目指して
「四十にして惑わず」は、古代中国の思想家・孔子の言葉で、『論語』という書物の中にある有名な一節です。どこで目にしたかは覚えていませんが、この言葉が私の心に突き刺さりました。
「40歳で心が安定し、迷わなくなった」という意味ですが、30歳を過ぎて独身だった私は「このままでいいのか」と不安でいっぱいでした。
まわりの独身の友達は「婚活」をしていましたが、私は婚活よりも、自立できる資格を取って40歳になったときに迷いのない道を進んでいたいと強く思いました。
何の資格をめざすか。看護師の資格を選ぶまで
「何か資格が欲しい」と思い、最初に考えたのは介護ヘルパーの資格でした。仕事を辞めた後、職業安定所の職業訓練で資格を取ることができたからです。
でも、その話を母にしたとき「せっかくなら看護師を目指してみたら?」と言われました。
私は手術や入院をした経験があり、看護師の方にはお世話になりました。そのとき、働く姿を見て憧れの気持ちを持ったことはありました。
しかし、まさか30代で看護師なんて……と思いながらも、情報収集をしていくうちに、社会人になってからでも看護学校に通えることを知り、少しずつ気持ちは前向きに。親も応援してくれました。
准看護学校を受験しよう!と思い立ち、会社を退職しました。
受験勉強、数学でつまずき予備校へ入学する
…が、問題集を開いてすぐに挫折。 中学レベルの因数分解がまったく解けず、「これは一人では無理だ」と実感しました。
思い立ったのが1月で、ちょうど二次募集の時期。結局その年の受験は諦めることに。
そんなときに見つけたのが、医療系の学校受験に特化した予備校「東京アカデミー」でした。 迷いましたが、退職金をもらっていたこともあり、思い切って約一年間の全日制に入学しました。
そこには、同じように社会人経験のある仲間がたくさんいました。 一緒に励まし合いながら受験勉強に取り組む毎日はとても充実していて、「私、がんばってるな」と久しぶりに思えるようになりました。
何より、勉強の仕方というものを知りました。商業高校を卒業した私は、基礎的な勉強方法すら分かっていなかったのです。
一番苦手だった数学も、教え方の上手な先生のおかげで、高校レベルの問題が何とか解けるようになりました。
社会人から看護師になるためのルート
看護専門学校(3年課程)に入学するルート
-
対象:高校卒業以上
-
学習内容:基礎から臨床実習までしっかり学べる
-
卒業後:看護師国家試験を受験、合格すれば「正看護師」。保健師や助産師の資格をとるには卒業後に大学に編入したり、専門学校にすすむ必要がある
大学(看護学部)で学ぶルート(4年制)
-
対象:高校卒業者/社会人入試を受けられる場合あり
-
特徴:保健師・助産師の資格取得も視野に入れられる
准看護師を経て、正看護師を目指すルート
-
ステップ1:准看護学校(2年)を卒業 → 准看護師資格を取得
-
ステップ2:その後、「看護専門学校(2年課程)」に通い、正看護師を目指す
私は3年課程の看護専門学校受験を目指しました。
社会人入試で第一志望に合格!
第一志望は国立系の病院附属の看護学校で、学費が安くて人気がありました。偏差値が高く、予備校の模試では合格ラインに届いていませんでした。
しかし、「社会人入試」という試験制度があり、数学が試験科目に含まれていなかったのです。
国語と英語、小論文と面接。合格する人数は決まっておらず、それまでの社会人入試での合格者は数名。絶対に無理だと思っていました。
第一志望の学校に落ちたときのために、県外の私立看護学校も受験。第二志望の学校には合格し、入学金も支払っていました。
そんな中、第一志望の社会人入試でまさかの合格!高い入学金を支払っていた私立校は辞退させてもらいました。
予備校の先生たちも、私が合格するとは思っていなかったようで驚いていました。
夢の第一歩が現実になった瞬間は、今でも忘れられません。
まとめ
予備校に通うのは金銭的にも大変でしたが、私は通って本当に良かったと思っています。
予備校に通ったことで、医療系の資格にもいろいろな種類があることを知りました。 私は看護師の資格を選びましたが、後になって「リハビリ系の資格でも良かったかも」と思うこともあります。
看護師という仕事は、かなりのメンタルを必要とするし、きついと思うことも多いです。でも、長く働くことができて、やりがいのある仕事だと感じています。
「四十にして惑わず」。この言葉通りになったかというと、そう簡単にはいかない現実もありました。
でも、50代になった今も看護師を続けていられるということは、挑戦したことに意味があったと思っています。
何かに挑戦するには覚悟も努力も必要。でも、「やってみたい」と思った気持ちがあるなら、年齢にとらわれずに挑戦してほしいと思います。